『武器になる哲学(著:山口周)』の感想5<人編>

武器になる哲学 思考
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こんにちは!
CafuneBooksの池野花です。
音声で話した内容を音声入力で書き起こし、30分で書くことを目標に簡潔にギュギュっとまとめます。

読んだ本は、『武器になる哲学』です。
今日は<思考編>です。

思考編では13の哲学・思想が紹介されています。
そこから、2つをピックアップしました。

シニフィアンとシニフィエ

シニフィアンとシニフィエは、構造主義哲学の基本的な立場を作り上げたフェルディナンド・ソシュールが考えたもの。

山口さんの出した具体例を使って説明すると、文化圏が違うとひとつの言葉が示す範囲が違います。
たとえば、日本では「蛾」と「蝶」は別のものとして定義づけられているけど、フランスでは蛾と蝶はいっしょくたに「パピヨン」と呼ばれるそう。
私たちは、モノがあってそこにはすべて名前があるという風に考えがちですが、どの文化圏にいるかによって概念や言葉は変わる。

シニフィアンは概念を示す言葉自体を指し、シニフィエは言葉で示される概念そのものを指すそうです。

この話を聞いてふと思い出したのが、韓国での親戚の呼び方の細かさです。(私、韓国と日本のハーフです)
たとえば、父の姉や妹、母の姉や妹などの親戚のおばさんがいるとします。

日本では、その4パターンの女性をすべて「おばさん」と呼びます。(漢字で叔母、伯母などの書き分けはありますが)
なんなら、ある一定の年齢より上の女性全般の呼び名としても、おばさんという言葉を使いますよね。
でも、韓国では、この4パターンの呼び名がすべて違います(!)

先日、自分がそのおばさんの立場になった経験をしました。
父方の親戚はすべて韓国に住んでいて、男のいとこ、女のいとこに同時に会ったときのこと。
二人にはそれぞれ子供がいて、初めてその子ども達と会いました。
親(いとこ達)は子どもに「あなたのおばさんよ、挨拶しなさい」と話すわけです。

韓国語では、父方の親戚のおばさんはコモ、母方の親戚のおばさんはイモといいます。(響きがちょっとかわいい)
そうすると、私に対して、男のいとこの子供はコモ、女のいとこの子供はイモと呼ぶんですよね。
これって、日本ではあまりしない体験です。

韓国は儒教の影響が日本よりも残ってますし、お互いの立場をわかるようにしておくという感覚があるよう。
たとえば、夫側の義理の弟にも呼び名があるほど、本当に細かく分かれています。
ただ、めったに使わない呼び名は韓国人でも調べないとわからないそうです(笑)

話がだいぶ脱線しましたが、そんな風に「文化圏が違うと、ひとつの言葉が示す範囲はだいぶ違う」ということですね。

シニフィアンとシニフィエを考えたソシュールが言いたかったことは、哲学は言葉を積み重ねて思考を深める学問だが、そもそも文化圏が違うと使用する言葉が違う。
言葉が違うことによって、思考もその影響を受けるんじゃないかという主張だそう。

そして山口さんは、「同じ言語を使う者の間でも、より多くのシニフィアンを理解している人のほうが、細かく世界を把握できる」と述べています。
私はそんな記述を読みつつ、多くの概念を知るためにはさまざまな思考や語彙を知っておくことが大事なのだと思いました。
本を読むことはシニフィアンを増やし、世界を切り取る視点や角度が多様化につながりそうです。

ブリコラージュ

ブリコラージュとは、「ありあわせのよくわからないものを非予定調和的に収集して、いざという時に役に立てる」という考え方。
ストロースという方がポリネシアの先住民を研究している時に、先住民が何かを見つけると「何かの役に立つかも」と拾っておき、実際に役立つことがあったそうです。

山口さんは、この言葉を用いて、「大きなイノベーションは複雑な思考の末に開発されたと思いがちだが、ブリコラージュから生まれた画期的な発明は多い」と述べています。

例として、エジソンが開発した蓄音機はあまり用途を考えずに開発したものだったり、「月へ行こう!」というシンプルな目的のアポロ計画がICU(集中治療室)の発想につながったりしているそう。
(アポロ計画で、宇宙飛行士たちが月で活動してる時に遠隔で状況を把握する技術が用いられ、ICU の何か異変が起きた時にすぐ知らせる仕組みにつながっている)

とてもワクワクする話ですよね。
なにかを始めようとおもったときに、「なんとなくこれはすごい気がする」と直感的に思うことが、何か大きなイノベーションにつながることもあると解釈しました。

武器になる哲学は自宅に1冊置いておきたい本

5回に分けてお伝えした『武器になる哲学』。

かなり読み応えのある本で、さまざまな哲学・思想が紹介されています。
この本のおかげで、哲学が少し身近に感じられるようになりました。

その時々で興味のあることは移り変わると思うので、時間をおいて開いてみたい本。
家に常備しておくのがおすすめです。

そして、巻末の哲学ブックガイドがすごくいいです。
本書で紹介した50のキーコンセプトをより深く理解できる本を、山口さんが40冊ほど選んで紹介しています。
私はまず、こちらの本をAmazonで注文してみました。


本の感想は、こちらのポッドキャストでも話しています。
Youtubeも音声のみですが、アップしています。

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この記事を書いた人

池野 花

池野 花

人材系企業で求人広告の取材・ライティング、SEOコンサルティング会社で大手企業のオウンドメディアのコンサル・ライティングを経験。自分の取材好きを実感し、新たな出会いや経験を求めて独立。
知的好奇心をくすぐられる人を取材して、心揺さぶられたことを言葉にするのが特技。誰かの想いがうまく伝わらないときに、自分が言葉を翻訳して意思疎通ができたときに達成感を覚える。ライター業の傍ら、本好きが高じて「言葉」をテーマにした本屋カフネブックスを渋谷の隣り池尻大橋駅にオープン。「誰もが専門家」をビジョンに、自分が興味をもった専門家を招いて公開取材するイベントを開催している。